鉄道の線路に石があるのはなぜ?
線路に敷き詰められたバラストとは?
鉄道の線路には、砂利(石)が敷き詰められています。
この砂利を「バラスト(Ballast)」と言います。
おなじみの光景なので当たり前に感じてしまいがちですが、この線路に敷き詰められたバラストは鉄道運行の安全を守るための重要な役割を担っています。
バラストのメリットとは?
線路にバラストを敷き詰める理由は、大きく3つあります。
まず鉄道の走行時の揺れを吸収する役割で、日本の鉄道は揺れが少なくてとても快適とよく言われますが、その理由の一つがこのバラストなのです。
石と石が重なり合うことによって振動が吸収され、鉄道の振動を軽減することができるのです。
あんな小さいなバラストが、大きな鉄道の揺れを防いでいるというのが驚きですね。
しかもこれは単に乗客の快適性を保つだけでなく、線路周辺に振動が伝わるのを防ぐ効果もあります。
2つ目は、路面(路盤)にかかる重量を分散させる役割です。
たくさんの人を乗せた鉄道が連日運行されていると、路盤が沈下するおそれもでてきます。
まくらぎも同じ役割を担っているのですが、まくらぎだけだと重量の負担がその部分だけに集中してしまうため、バラストを敷き詰めることで重量を分散させるのです。
そして3つ目の目的は、音を吸収させる効果です。
これも意外に思えますが、バラストは吸音材としての効果も備えているのです。
砂利を敷き詰めた空間には隙間が生じ、この隙間が音を吸収し、鉄道が走行する際の騒音を軽減してくれるのです。
これも単に乗客が快適に過ごすだけでなく、周辺への騒音を防ぐうえで非常に重要な役割を担っています。
ほかにも、敷設がしやすい、水はけがよくなる、雑草対策になるといった鉄道を運用する側のメリットも見逃せないでしょう。
JR東日本における弾性バラスト軌道について
この鉄道路線に使用されるバラストは年々技術が進歩しており、機能もアップしています。
例えばJR東日本では「弾性バラスト軌道」という技術を採用しており、弾性材を備えたまくらぎを使ったうえでバラストを敷き詰める形をとっています。
この新技術を採用することで低騒音、低振動がさらにアップするだけでなく、メンテナンスの手間がかからない、コストが安く済むといったメリットも得られます。
地下鉄ではバラストは使用されずにコンクリートのうえに線路が敷かれている光景をよく見かけますが、騒音・振動が大きくなるところではバラストも使用されています。
そのうえでこのJR東日本の弾性バラスト軌道のような最新技術を使用することで、快適かつ安全な鉄道運行が維持されているわけですね。
砂利が敷き詰められた線路というとノスタルジーをかきたてられる面もありますが、実際には最新の技術も取り入れられたバリバリに現役の技術なのです。