AT車でよくあるクリープ現象
クリープ現象が起こる仕組みとは
クリープ現象はAT車のシフトレバーが「D(ドライブ)」や「R(リバース)」のレンジへ設定されているときに起こるもので、アクセルを踏んでいなくても車体がゆっくりと動きます。
この現象が起こるのは、AT車にトルクコンバーターと呼ばれるシステムが搭載されているからです。
MT車は通常、エンジンから生み出された動力をトランスミッションへ伝えるため、クラッチペダルを介してドライバー自身が手動で2つの機構を繋ぐ必要があります。
一方、AT車ではドライバーの代わりにトルクコンバーターがエンジンが生み出した動力をトランスミッションおよびタイヤへ伝達してくれているのです。
つまり、シフトレバーを「D」や「R」に設定した時点で、エンジンとトランスミッションは繋がっており、わずかながらトルクが伝わっています。
そのため、アクセルを踏まない状態でも徐々に車が動くというわけです。
クリープ現象のメリットとは
1つ目のメリットは「低速走行時の安全性」です。
渋滞で車の流れが非常に遅い場合や、車庫入れをしていて前後へゆっくりと車を動かしたいときには、クリープ現象を活用することで安全に運転することができます。
ただし、ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違えには注意が必要です。
2つ目のメリットは「上り坂の発進が容易」という点でしょう。
レンジを「D」に設定していると、クリープ現象によるトルクのおかげで、発進時に車体が下がってしまうというリスクは非常に低くなります。
アクセルペダルを踏み込めば滑らかな発進ができるはずです。
ただし、勾配が非常にきつかったり、荷物をたくさん積んでいたりすると、クリープ現象があっても後退していまう危険があるので注意しましょう。
クリープ現象で起きやすい事故に注意
クリープ現象による事故で多いのが「うっかり発進」でしょう。
シフトレバーを「D」にした状態でうっかりブレーキペダルから足を離してしまい、前方の車に追突してしまったというケースは少なくありません。
ドライブスルーや料金所などで窓から受け渡しや支払いをしているときにも、同様のことが起こり得ます。
ですから、一定時間停車することが分かっているときには面倒に感じるとしてもいったん「P(パーキング)」に切り替えるなどの対応をしましょう。
「下り坂の追突」も、クリープ現象が原因として起こり得る事故です。
AT車の場合、下り坂ではアクセルペダルから足を離してもクリープ現象によってほとんど減速されないまま進んでいきます。
そのため、危険に気付き慌ててブレーキをかけたものの間に合わず追突してしまうということが少なからず起こるのです。
ですから、クリープ現象の特性を理解して早めに減速するよう心がけておきましょう。