航空機の離着陸時にGを感じる理由とは

飛行機の離陸

Gとは何かを知ると、体が押される感覚の正体が見えてくる

飛行機の離着陸時に体がシートに押し付けられるように感じるのは、いわゆる「G」を受けているためです。
Gとは重力加速度のことで、私たちは地上で普通に立っている状態でも1Gの力を常に受けています。

これは地球の重力によって体が下方向に引かれている状態を指します。
普段は意識しませんが、エレベーターが急に上昇したときに体が重く感じたり、下降時にふわっとした感覚になるのもGの変化によるものです。

航空機では、このGの変化が地上にいるときよりもはっきりと感じられます。
特にエンジン出力を一気に高める離陸時や、速度を落としながら降下する着陸時には、体にかかる力が一時的に増減します。

ただし、これは異常な現象ではなく、飛行機が安全に飛ぶために必要な動きの結果です。
旅客機で感じるGは、日常生活の延長線上にある範囲に収まっています。

離陸と着陸でGの感じ方が違う理由と、機体構造の関係

離陸時に強く感じるGは、滑走路を加速しながら走り、短い距離で飛び立つために発生します。

エンジンが最大出力に近い状態になり、機体が前方に加速することで、体は後ろへ引っ張られるような感覚を覚えます。
このとき、体にかかるGは主に前後方向で、シートに背中が押し付けられるように感じるのが特徴です。

一方、着陸時は減速と降下が同時に行われます。
着陸時は、接地の瞬間に鉛直方向の減速が生じるため、上下方向のGを感じやすくなります。

特に接地の瞬間には、車が段差を越えたときのような衝撃を感じることがありますが、これは着陸装置が衝撃を吸収している証拠でもあります。
航空機の脚部には強力なショックアブソーバーが組み込まれており、乗客に伝わる衝撃を最小限に抑える設計がされています。

また、機体そのものもGを分散させる構造になっています。主翼のしなりや機体の剛性は、急激な力が一点に集中しないよう計算されています。
そのため、多少大きく感じる場面があっても、構造上は十分な安全余裕が確保されています。

体への影響と、不安を感じたときに知っておきたい安心材料

旅客機で発生するGが人体に悪影響を及ぼすことはほとんどありません。

戦闘機のように急旋回や急降下を行う場合は別ですが、定期航空路を飛ぶ民間機では、乗客の体に無理な負荷がかからない運航が徹底されています。
実際、離着陸時に感じるGは、多くの場合はジェットコースターや急発進する自動車よりも穏やかな場合が多いです。

それでも、不意に体が押される感覚に驚き、不安を覚える人は少なくありません。
そうしたときは、Gが「飛行機が正常に動いている証拠」であることを思い出すと、気持ちが落ち着きやすくなります。

機長や副操縦士は、機体性能や天候を踏まえたうえで、最も安全な加速や降下を選択しています。
また、座席に深く腰掛け、背もたれに体を預けることで、Gによる負担を感じにくくなります。

シートベルトを正しく締めることも重要です。体が安定することで、予想外の揺れや加速があっても安心感が増します。
Gは目に見えない力ですが、正体を理解しておくことで、離着陸の時間を必要以上に怖がらずに過ごせるようになります。

飛行機が空を飛ぶ仕組みの一部として受け止めることが、快適な空の旅につながります。