まだまだ多い鉄道員への暴力

減少はしているがまだまだ多い

世界の人たちの日本人に対する評価は、日本人はとても勤勉で礼儀正しく、きれい好きでマナーが良いとよく言われます。
しかし、すべての日本人が、礼儀正しいわけではなく、中には思いも寄らないマナー違反が、横行していることはご存じのことでしょう。

私たちが、日常的に通勤や通学で使用している私鉄などのアクセスにようですが、近ごろでは鉄道員への暴力が頻繁に行われているといいます。
2003年度以降は、全国で年間100件を超えており、2008年以降はその総数が200件を上回っています。
2016年には、わずかに暴力件数が減少したものの、それでも年間189件と高い伸び率は今が変わらずです。
ストレスが多い現代人とは言え、何がこうした暴力を引き起こすのでしょうか。

暴力行為の理由

鉄道の存在は、私たちの足となり、スムーズに任意の場所へと運んでくれる旅客サービスです。
日本の鉄道は、世界的な視点からみても時間に正確で、運行本数の多さも類を見ません。
そこで働く鉄道員たちも、常に利用者に対して、適切なサービスを行っています。
なぜ、このような鉄道員たちに、暴力行為が集中するのでしょう。

鉄道員たちへの暴行行為の理由の第1位は、「理由もなく突然に」第2位は「酩酊者によるもの」第3位は「迷惑行為を注意した際」第4位は「けんかの仲裁」「その他」と続きます。
暴力行為に至った理由・契機の第1位として、理由もなく突然にといった理由には、誰しもが驚かされるのではないでしょうか。

暴力行為の多い年代

少し前までは、「キレる若者」の話しをよく耳にしていました。
しかし最近では、その様相も少し様変わりしており、意外にお年を召した方に、鉄道員たちの暴力行為が増えています。
年代別に見てみると、10代2%・20代19%・30代20%・40代19%・50代15%・60代19%と、若い年代層と高齢層にさほど違いがないことが、お分かりいただけるでしょう。

つまり、キレるのは何も若者だけではなく、他の年代も相違ないということです。
このように最近では、脳科学・医学的な観点でも、「キレる老人」というワードが注視されているようです。

キレる老人の要因には

最近では、キレる若者以上に、キレる老人が増えてきていることを感じている方が、意外に多いのではないでしょうか。
先に述べた通り、脳科学・医学的な観点で、このキレる老人を分析すると、やはりアルツハイマー病の存在も見過ごせない事実です。
アルツハイマー病は、脳の委縮により、認知機能低下、人格の変化を主な症状とする認知症の一種です。

アルツハイマー病の症状は様々ですが、症状が進行していくと、様々な認知障害が起こりやすく、最終的には寝たきりになってしまうといったものです。
この症状の過程で、被害妄想や誇大妄想も出現することが多く、暴力や暴言などの問題行動が見られるのも、アルツハイマー病の大きな特徴です。