世界最速の旅客機コンベアCV880

旅客機の歴史

旅客機の概念は、商用として乗客を乗せる為に運航している民間飛行機のことです。
貨物の輸送用の飛行機は、旅客機とは呼ばず、貨物機として一般的には区別されています。
こうした旅客機は、航空機メーカーが製造しているもので、航空会社が乗客や貨物を乗せて運航しています。

ライト兄弟が、人類初の飛行に成功した 1903年から16年後となる、1919年に世界で初めて旅客機が登場しました。
以降、世界中で様々な旅客機会社による空の交通網が整備され、現在に至っています。
というのも、スピードを重視するよりも、航空機の場合は安全性が重要視されるためです。

コンベアCV880とは

旅客機は、英仏共同開発のコンコルド、超音速旅客機を除き、半世紀ほどは大きな変化はありませんでしたが、その中でそうした高速性をウリにした旅客機が開発されていました。
そうした中で、ボーイング707やDC-8の対抗機として開発されたのが、アメリカの大手航空機製造会社ジェネラル・ダイナミクス社が開発したコンベアCV880でした。

コンベアCV880は、初期のジェット旅客機の中で、最速のスピードを誇っていました。
1960年に最初の機体が完成すると、デルタ航空で最初に路線の運行が開始されることになります。
当時、世界最速を誇ったコンベアCV880ですが、日本で運行していたことをご存じの方はあまりいらっしゃらないようです。

高速の理由

コンベアCV880の速さは、当時先行して開発されたボーイング707やダグラスDC-8より早く、マッハ0.89の設計値で作られました。
ボーイング707はマッハ0.81、ダグラスDC-8がマッハ0.72ですので、これを上回ることになります。
コンベアCV880の外観は、主翼下に4発エンジンを搭載した単通路と、先行開発された2機種とよく似ていましたが、実は搭載エンジンに高速の秘密がありました。

コンベアCV880のエンジンには、ターボジェットエンジンで知られる、プラット・アンド・ホイットニー「JT3C」や、これを燃費効率や静粛性の高い構造である「ターボファンエンジン」に改良した「JT3D」などが使用されていたからです。

デメリットが多く3年で生産終了

当時、世界最速を誇ったコンベアCV880でしたが、残念なことにたったの3年で生産が終了してしまいます。
理由として挙げられるのは、整備が煩雑なうえに、構造上のトラブルが多発したためです。
トラブルの主な原因は、製造原価低減目的で高価な耐熱金属の使用量を減じたこと。

そして、それによって、ホットセクションが溶解するトラブルが多発したからです。
ほかにも、大騒音で黒煙を吐いた、あるいは警報システムの誤作動による緊急着陸も頻発するなど、信頼性にも乏しかったのも大きな原因です。
また、航空機本体も一回り小さく、高燃費でコストがかかったことも、不評となる原因の一つでした。