移動オービスが増強へ

移動オービスって何?

自動車ドライバーはぜひ知っておきたいのが、移動オービスです。
これは持ち運びができる、ドライバーの速度違反を自動で取り締まることができる装置のことです。
つまりこの移動オービスを持ち運べばいつでも、どこでもスピード違反の取り締まりを行うことができるのです。
安全運転、速度制限をしっかり守って運転しているドライバーならとくに問題はありませんが、急いでいる時や深夜車が少ない時などについついスピードを出しすぎてしまう方などは、思わぬ場所でこの移動オービスに引っかかってしまう可能性が出できます。

スピード違反はもちろん絶対に駄目ですが、残念ながらルールを守らないドライバーは一定数いるものです。
そして常習者ほど「どんな時、どんなところで取締が行われるのか」を知っており、その時だけ速度を落とすことで巧妙に取り締まりから逃れているといった面もあります。
それでは取り締まりの効果が上がらないということで、警察が導入を進めるようになったのがこの移動オービスなのです。

見た目は小さな箱で、道路脇に三脚の上に乗せる形で設置されます。
移動オービスを知らない方でも、「そういえばそんなの見たことがある」と思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ドライバーが気づかない間に取り締まりが行われていることもあるわけです。

今後導入がさらに普及する見込み

現在使用されている移動オービスは2016年から採用されており、2018年から本格的に全国展開が行われるようになりました。
年々導入数が増えており、全国各地でこの移動オービスによる速度違反の取り締まり件数も増加しています。
警察庁による2022年度の予算では、新たに25セット分の整備費、総額で1億300万円を計上しており、導入への積極性をうかがわせています。

では、どうしてこのような積極的な導入が進んでいるのでしょうか?
技術の進歩による携帯性や制度の向上、導入・維持のためのコストダウンなどの面もありますが、直接の原因は子供登下校中の自動車事故が相次いでいる点にあると言われています。
本来なら大人が安全を確保するはずの子どもたちの登下校の時間を、大人の無謀な運転で危険にさらしてしまう、それどころか命さえ奪ってしまう、そんな理不尽を取り締まるための手段として移動オービスの活用が進んでいるのです。
実際に政府も2021年の8月に千葉県で発生した飲酒運転による事故をうけ、より本格的な対策を打ち出すことを決定しており、その一環として移動オービスのより積極的な導入が決定されたという背景もあります。

児童の交通事故の多くは、登下校ルートの狭い道を自動車が無謀なスピード、または飲酒した状態で運転したときに発生しています。
こうした狭い道でも移動オービスは簡単に設置できるため、厳しい取締が可能になるという大きなメリットを備えています。
全国各地にはこうした登下校ルートでの無謀な運転が常態化している場所が多数あると考えられており、これ以上悲劇を繰り返さないためにも移動オービスの役割が注目されているのです。