2023年に開通した宇都宮のライトレール
ライトレールとは?BRTとは何が違う?
2022年に、栃木県宇都宮市と隣接する芳賀町を結ぶ「宇都宮ライトレール」が開通しました。
このライトレールとは「Light Rail Transit」のことで、頭文字をとって「LRT」と呼ばれることもあります。
このライトレール(LRT)は路面電車の一種であり、国内で新たな路面電車が開通するのはじつ75年ぶりのこと、宇都宮市はもちろん全国的に大きな話題となりました。
ただ、従来の路面電車と異なる点がいくつか見られます。
名称に「Light」という名称が使われているように、車両が軽量なのがまず大きな特徴となっているほか、通常の道路上で運行される従来の路面電車に対してこちらは道路上に専用の軌道が設けられたうえで運行される形をとっています。
これによって道路の交通量や渋滞によって運行状況に影響が及ぶのを避けることができるのです。
一方、LRTと似たような交通手段としてBRTもあります。
こちらは「Bus Rapid Transit」の略称、つまり鉄道ではなくバスを活用した交通手段となっています。
このBRTも、バス専用のレーンや乗降用のプラットフォームを導入することで道路の交通状況の影響を最小限に抑える工夫が施されています。
ですから、ライトレールとは従来の路面電車とBRTの両方の特徴を備えた交通手段と言えるでしょう。
バスよりも輸送力に優れ、路面電車よりも道路の交通状況の影響を受けにくいメリットを持ち合わせていることになるんです。
宇都宮ライトレールは当初の需要予測を上回る結果に
運行当初は話題性があるので、利用者が多くなるのは当然予想されます。
それでも宇都宮ライトレールは、当初の需要予測を上回る結果を残しています。
開業後から1ヶ月を経過した2022年8~9月のデータでは、当初の需要予測の1.4倍もの乗客者数を記録しています。
興味深いのは、平日の利用者数に関しては当初の需要予測とほぼ同程度の水準となっているのに対して、休日の利用者数が予測の約4倍にも達していることです。
これはこのライトレールは通勤・通学の足としてよりも、レジャーをはじめとした余暇に利用する移動手段として活用されている傾向があることを示しています。
実際に宇都宮市では、利用者の増加が見込める地元のプロサッカーチームの試合日などに増発も行っています。
このLRTは地方における人の輸送力を確保する手段として注目されており、宇都宮ライトレールはその先駆けともなっています。
それだけに今後どれだけこの好調を維持できるかは、宇都宮市・芳賀町だけにとどまらず全国的な注目を集めている面もあるのです。
BRTとの共存も含め、地方の公共の交通手段としてどれだけ普及・拡大していくのか期待したいところです。