宮島で「グリスロ」の実証実験がスタート
そもそもグリスロとは?
グリスロとは「グリーンスローモビリティ」の略称で、時速20km未満で走行する電動車を活用した移動サービスのことです。
時速20kmメートルですからかなりゆっくりとした移動速度ですが、小型の電動車が使用されるうえに公道を走行することができることから、地方、とくに高齢化が進行している地域の新たな移動手段として注目されています。
そして名称に「グリーン」が使われているように、電動車ということで環境にも優しい店も21世紀の移動手段として非常に適したメリットを持っているんです。
観光名所として有名な広島の宮島で使用されており、グリスロを使ったガイドツアーの実証試験も行われています。
電動車なので環境に優しい、そして小型なので小回りがきく、さらにゆっくりと走行することから安全性も高く、忙しい人にとってはあまり向いていない移動手段かもしれませんが、高齢者や観光客のようなスピードよりも快適さや楽しさを求める人たちにとってはこうした面がかえってメリットにもなるでしょう。
高齢化が進む地方では、とくに住民の移動手段の確保が重要なテーマとなっています。
人口減の影響でバスの運行数を増やすわけにもいかず、資金面の影響で鉄道の増設なども見込めない、そんな状況のなかで、小回りが聞いて柔軟性に優れたグリスロが新しい時代の移動手段・移動サービスの選択肢として注目されているのです。
宮島で実施されている実証試験の内容
宮島で実施されている実証試験では、そうしたグリスロのメリットや可能性を探るための取り組みが行われています。
4人乗りと7人乗りのグリスロを使って宮島の名所を巡るツアーが実施されており、コースも厳島神社をはじめとした定番の名所を巡る「歴史コース」と海水浴場を巡る「海コース」「山コース」の3種類が用意されています。
宮島はそれほど大きくない島に多くの観光スポットを擁しており、しかも連日多くの観光客で賑わっています。
そうした環境でもグリスロなら小回りも効いて移動しやすく、交通事故のリスクも少なく、歩行者に不快な思いをさせることもない。
さらにグリスロは自動車に比べて開放的なうえにゆっくりと回るので、乗車・移動しながら観光スポットを見物し、雰囲気を味わうこともできます。
実証実験に参加した人たちからも好評なうえに、グリスロに乗っている人だけでなく、周囲の人たちにもメリットをもたらすことができるという非常に良い感触を得られているようです。
このような実証試験で得た結果をもとに、今後は観光地だけでなく全国のさまざまなエリアに導入されていくことで「新たな足」として定着していくことが期待されています。
スピード重視だった時代から「ゆっくりと、安全、快適に」の時代に、まさに価値観の転換期に登場した魅力的な移動手段なのかもしれませんね。