車の移動に合わせた音声コンテンツの開発が進む

道路環境に即して情報を提供する車載用コンテンツが注目を浴びている

近年、ユーザーの音声に反応してサービスを提供するシステムとして、AppleのSiriやAmazonのAlexa、Googleアシスタントなどが注目を浴びており、その有用性に関する評価は大いに高まっています。
そこで、自動車の運転にもこうしたアシスタント機能を追加できないかというニーズが高まっており、実際に多くの自動車メーカーおよび電装メーカーがこぞって開発を進めているのです。

車載用の音声コンテンツがこれまでのナビゲーションシステムや道路地図アプリと異なるのは「道路環境に応じてリアルタイムに情報を提供する」という点でしょう。
GPS情報に基づいて渋滞情報を提供したり、Wazeのように警察の取り締まりや道路工事の情報をリアルタイムで提供するだけでなく、車の動きや道路の環境に応じてAIが判断し観光情報など有用な情報を個別に提供してくれる、いわば車載版コンシェルジュというのがアシスタントコンテンツの強みです。

ただし、リアルタイム更新の車載用音声コンテンツには大きな難題があります。
それは「ドライバーの音声だけを的確に識別すること」です。
自動車の運転中には、車内外でいろいろな音が発生します。
例えば、エンジンやエアコンの音、緊急車両のサイレンや他のドライバーが鳴らしたクラクションの音なども挙げられるでしょう。
そうなると、ドライバーがシステムへ話しかけても正しく認識できないことが多いのです。

また、同乗者がいる場合にはその話し声もシステムは拾って反応してしまいます。
そうなると、ドライバーが意図していない返答を返してしまうという事態も起こり得ます。
「ドライバーが専用のヘッドセットをすればよいのではないか」という意見もあります。
とはいえ、特定のインターフェースに依存せず、より汎用性が高くすべての年齢層に受け入れられるシステム作りを多くのメーカーは目指しているのです。

注目のリアルタイムシステム「Rhythm 高速道路モデル」の機能とは

数ある車載用音声コンテンツの中でもひときわ注目を浴びているのがアイシン精機とNEXCO中日本が共同開発しているのが「Rhythm高速モデル」です。
このシステムが持つ強みは、「多彩な情報を提供できること」にあります。
例えば、車の進み具合に応じて間もなく到着するPAやSAのおすすめグルメや見どころなどをちょうどよいタイミングで教えてくれるのです。

また、高速道路にある高架橋やトンネルなどに関してガイダンスをしてくれる機能もあります。
加えて、高速道路から見える景色に関しても解説を聞くことが可能です。
こうした情報をリアルタイムで聞くことができるようになれば、比較的単調になりがちな高速道路のドライブはより楽しく充実したものになることでしょう。