燃料電池バスに乗ってみた

燃料電池バスは普及するか?

環境問題への関心が高まり、脱酸素の動きがここに来て急速に進んでいる印象がありますが、その中でもとくに活発な動きが見られるのが自動車業界です。
EVの普及がどの程度進んでいくのかも興味がありますが、ついに燃料電池バスなるものが登場しました。
この燃料電池バスはトヨタ自動車が開発していたもので、名前は「SORA」。
最大のポイントは量販型、つまり日常社会に普及することを目的に開発された車種だということです。
つまりこの「SORA」が普及することで、わたしたちが日常生活の中で燃料電池バスと接する増えることになります。

もともとトヨタ自動車は、2018年から鉄道と自動車の連携を前提に水素を活用したモビリティ環境の構築を目指しています。
その一環であり、そして目玉としてもこの燃料電池が注目されています。
すでに販売を開始、あとはどの程度普及するかという段階に入っています。

どんなバスなのか?

では実際に、どんなバスなのでしょうか。
燃料電池バスと言われてもピンと来ない、という方も多いのではないかと思います。
まずスペック面から見ると、もともと燃料電池自動車「MIRAI」向けに開発された「トヨタフューエルセルシステム」が採用されており、CO2をはじめとした環境に負荷をかける物質を排出しない環境面の配慮と、静音で振動が少ない乗り心地の良さが大きな魅力となっています。

そしてこの手の自動車の最大のポイントともいえる給電システムに関しては、高出力・大容量の電源供給能力を備えており、日常の運転はもちろんのこと、万一災害が起こった時の電源としても使用できるなど汎用性の高さも備えています。
フロントも含めて四角形をしたデザインもかなり印象的で、いかにも「未来に向けて走る自動車」といった印象も受けます。

乗り心地は?

「もう乗ったよ」という方もいらっしゃるかもしれません。
実際に乗ってみて最初に感じたのは、やっぱり「静かで揺れない」点がかなり魅力的ということです。
床が低くフラットなので高齢者の方も乗りやすく、車内全体が広く感じました。
鉄道車両と比較すると、バスはどうしても狭い印象を持ってしまう傾向があるのですが、この「SORA」に関してはそんな問題点も感じませんでした。

そしてもっとも強く感じたのは、「全体の動きがスムーズ」な点です。
燃料は燃料電池、動力はモーターということもあって、加速時や停車時にもビックリするほど揺れません。
実体験する機会はありませんでしたが、急加速を抑制する機能も搭載しているらしく、どんな状況でもなめらかでスムーズな運転ができるようです。

バスに乗っているとどうしても途中で大きく揺れたり、急停車などでバランスを崩してしまうものです。
乗っていると必ず「走行中は車内を歩かないでください」といったアナウンスがされるわけですが、この「SORA」ではその必要がないんじゃないかと感じるくらいでした。
まさに、次世代のバスとして今後注目の存在でしょう。